声がれ
声は、喉頭(こうとう)というのどぼとけの中にある声帯(せいたい)が開いたり、閉じたりすることで出ています。声が出しにくい、かすれる、のどが乾きやすいといった症状の原因としては、大声で喋る、歌を歌いすぎたりなど声の出し過ぎでのどを酷使した、あるいは風邪などによりのどに炎症が起こったことが考えられます。これらの症状は、一時的なものが多く、いつもより水分を多くとる、アメなどをなめるなど、のどが乾燥しないようにすることで症状は解消してきますが、風邪などの症状がなく声がれが長引く場合は、のどの周りの腫瘍や他の病気が隠されていることもあります。また、タバコを吸う方の声がれはがんの可能性もあります。1週間ほど経っても症状が改善しない場合は、ご相談ください。
声がれを伴う主な疾患
声帯ポリープ・声帯結節(けっせつ)
声帯ポリープは、声帯のどちらか一方に水ぶくれのようなポリープができ、声帯が閉じづらく、振動もできづらいため発声がしにくくなる病気です。症状としては、喉の奥に違和感が生じ、何か詰まったようなイガイガした感じがします。ポリープが大きい場合、呼吸困難をおこす可能性もあります。
声帯結節は、声帯の両側の声帯膜様部の中央に結節という指にできる鉛筆ダコのように小さくて硬い組織ができます。主に声のかすれ、痛みや違和感などの症状があります。
どちらも声の使い過ぎや大きな声を出し続けることが主な原因です。
喉頭炎
風邪や感染症などによる「急性喉頭炎」と、声の使い過ぎや喫煙などによる「慢性喉頭炎」があり、声帯に炎症が起きると声がかすれたり、出しづらくなったりします。重症化すると声帯結節や声帯ポリープが形成されることもあるため、早めの治療をおすすめします。
喉頭がん
喉頭がんは男性に多く見られ、喫煙や過剰なアルコール摂取が発生に大きく影響します。喉頭がんのなかでも声帯にできるがん「声門がん」は、初期から声がかれるため比較的早期に診断されます。がんが進行すると、声がれだけでなく息苦しさなどの症状が現れてきます。
声帯以外の部分から発生する喉頭がんで、多くの場合声門の上方から発生する「声門上がん」では、のどのいがらっぽさや異物感、違和感などの症状が見られますが、初期症状が乏しく、声がれの症状も出にくいため、声門がんに比べて進行した状態で診断されることがほとんどです。また、頸部のリンパ節に転移しやすい特徴があり、首が腫れてから気づくこともしばしばです。
声門がんは、多くの場合放射線治療で治癒しますが、声門上がんの治療は、放射線、抗がん剤、手術を組み合わせて行います。
1ヶ月以上声がれが続く場合には、喉頭がんの疑いがありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
治療方法
声がれの治療方法は、原因となる疾患によって異なりますが、どの疾患ものどに負担をかけないように安静にすることが大事です。疾患の種類や進行状況により、消炎剤や抗菌剤などの薬物療法やネプライザー、外科手術などの治療を行います。