のどは食道や胃に食べ物を送り込んだり、言葉を発したり、肺まで空気を届けたりする役割があり、口から入ってくる細菌やウイルスの侵入も防いでいます。のどの病気でよく見られるのは、声がれ、咳、扁桃腺の腫れや痛みなどです。
扁桃炎
扁桃は、口蓋垂(のどちんこ)の左右にあるぷくっとしたリンパ組織です。疲労が続いたり風邪をひいて抵抗力が落ちているときなどに、扁桃腺が細菌やウイルスに感染し、のどの痛みと熱が出ます。水も飲めなくなると、入院して治療することもあります。扁桃炎を繰り返すことで心臓や腎臓などの大切な臓器に影響を及ぼす事もあるため適切な治療方針を決定する事が重要です。
扁桃炎の種類
急性扁桃炎
ウイルスや細菌感染による炎症です。過労やストレス、急な気温差などで免疫力が低下すると発症します。両側の扁桃が赤く腫れ、高熱やのどの痛みを引き起こします。炎症が強い場合、白い苔のようなものがつくことがあります。
慢性扁桃炎
扁桃の炎症を1年に何回も繰り返す状態が慢性扁桃炎です。成人に多くみられ、細菌やウイルスの感染、飲酒や喫煙が原因です。慢性扁桃炎には、急性扁桃炎を年4回ほど繰り返す「習慣性扁桃炎」、扁桃の免疫異常によって扁桃以外の別の臓器(皮膚、腎臓、関節)に症状が出る「扁桃病巣感染症」があります。
原因
細菌
溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌など
溶連菌による扁桃炎にはご注意を!
溶連菌に感染すると風邪と似たような症状が出現しますが、咳や鼻水はあまりなく、ただの風邪と放置してしまうと特にお子さんの場合、重症化すると皮膚疾患を起こす恐れがあり、中耳炎、副鼻腔炎、腎炎やリウマチ熱などさまざま合併症を起こす可能性もあるため、突然の高熱やのどの痛み、いちご舌などの症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
ウイルス
アデノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、EBウイルス、単純ヘルペスウイルスなど
症状
- 38~40℃の高熱
- のどの腫れと痛み(特に飲み込むときに痛み)
- くびのリンパ節の腫れ
- 耳の痛み
- 頭痛
- 関節痛
- 倦怠感
- 白い膿が付着する群
- いちご舌、赤い発疹(溶連菌の場合)
検査
のどの炎症を確認し、患者さんの年齢や症状などから、どのような細菌に感染しているか調べるため、溶連菌迅速検査、血液検査、細菌培養検査を行います。
治療
のどの痛みや発熱を抑えるために、解熱剤や鎮痛剤などを処方します。また、治療する際、ウイルス性か細菌性なのか判断して治療することが大切です。細菌などを排除するために抗菌薬も処方します。合併症(リウマチ熱、中耳炎、副鼻腔炎、 髄膜炎など)のリスクがあるため、医師の指示に従い、最後まで服用しましょう。食事や水分がとれないほど症状が重い場合は、点滴による治療を行います。
扁桃炎を繰り返す場合、膿が溜まった場合は、手術が検討されることがあります。
声がれ
声は、喉頭(こうとう)というのどぼとけの中にある声帯(せいたい)が開いたり、閉じたりすることで出ています。声が出しにくい、かすれる、のどが乾きやすいといった症状の原因としては、大声で喋る、歌を歌いすぎたりなど声の出し過ぎでのどを酷使した、あるいは風邪などによりのどに炎症が起こったことが考えられます。これらの症状は、一時的なものが多く、いつもより水分を多くとる、アメなどをなめるなど、のどが乾燥しないようにすることで症状は解消してきますが、風邪などの症状がなく声がれが長引く場合は、のどの周りの腫瘍や他の病気が隠されていることもあります。また、タバコを吸う方の声がれはがんの可能性もあります。1週間ほど経っても症状が改善しない場合は、ご相談ください。
声がれを伴う主な疾患
声帯ポリープ・声帯結節(けっせつ)
声帯ポリープは、声帯のどちらか一方に水ぶくれのようなポリープができ、声帯が閉じづらく、振動もできづらいため発声がしにくくなる病気です。症状としては、喉の奥に違和感が生じ、何か詰まったようなイガイガした感じがします。ポリープが大きい場合、呼吸困難をおこす可能性もあります。
声帯結節は、声帯の両側の声帯膜様部の中央に結節という指にできる鉛筆ダコのように小さくて硬い組織ができます。主に声のかすれ、痛みや違和感などの症状があります。
どちらも声の使い過ぎや大きな声を出し続けることが主な原因です。
喉頭炎
風邪や感染症などによる「急性喉頭炎」と、声の使い過ぎや喫煙などによる「慢性喉頭炎」があり、声帯に炎症が起きると声がかすれたり、出しづらくなったりします。重症化すると声帯結節や声帯ポリープが形成されることもあるため、早めの治療をおすすめします。
喉頭がん
喉頭がんは男性に多く見られ、喫煙や過剰なアルコール摂取が発生に大きく影響します。喉頭がんのなかでも声帯にできるがん「声門がん」は、初期から声がかれるため比較的早期に診断されます。がんが進行すると、声がれだけでなく息苦しさなどの症状が現れてきます。
声帯以外の部分から発生する喉頭がんで、多くの場合声門の上方から発生する「声門上がん」では、のどのいがらっぽさや異物感、違和感などの症状が見られますが、初期症状が乏しく、声がれの症状も出にくいため、声門がんに比べて進行した状態で診断されることがほとんどです。また、頸部のリンパ節に転移しやすい特徴があり、首が腫れてから気づくこともしばしばです。
声門がんは、多くの場合放射線治療で治癒しますが、声門上がんの治療は、放射線、抗がん剤、手術を組み合わせて行います。
1ヶ月以上声がれが続く場合には、喉頭がんの疑いがありますので、必ず耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。
治療方法
声がれの治療方法は、原因となる疾患によって異なりますが、どの疾患ものどに負担をかけないように安静にすることが大事です。疾患の種類や進行状況により、消炎剤や抗菌剤などの薬物療法やネプライザー、外科手術などの治療を行います。
咽頭炎・喉頭炎
のどの痛みや痒み、咳、痰、声がれなどの症状が出た場合は、のどに炎症が起きていることがほとんどで、大抵の方がのどが赤く腫れています。のどの上の方の炎症は、「咽頭炎」、のどの下の方の炎症は「喉頭炎」と、炎症の起きる部位で分けられ、原因や治療法には違いがあります。咽頭は、鼻の奥の突き当たりから食道まで、上咽頭・中咽頭・下咽頭に分けられ、ウイルスや細菌感染しやすい部位です。喉頭とは、咽頭から声帯を含む気管までの部位です。咽頭炎も喉頭炎も、ウイルス感染や細菌感染、喫煙、飲酒、声の出し過ぎなどが原因で、急性の炎症が起きる場合と、炎症が慢性化する場合とあります。炎症が起きている部位や腫れの程度を咽頭ファイバーで確認し、診断を行います。
高齢の方や、糖尿病など基礎疾患のある方は重症化しやすく長引きやすいので、のどの痛みが続き、腫れが治らないという場合は、お早めにご相談ください。
治療について
ウイルス感染の場合は、消炎鎮痛薬で痛みや炎症を抑える対症療法が基本となります。十分な療養を取り、うがいや吸入療法を行いながら、自然に回復するのを待ちます。細菌感染を原因とする場合は、抗生剤、消炎鎮痛薬、鎮咳薬などを処方し治療を行います。症状が進行している場合は、抗生剤の点滴投与が必要になります。薬物治療と安静にすることで、ほとんどの方が数日で回復していきますが、喉頭炎は、急激に重症化して気道狭窄や呼吸困難を伴うケースもあり、気管切開などの外科的処置が必要になる場合もあります。緊急を要する場合は、適切な医療機関をご紹介いたします。
口内炎
口内炎とは口の中の粘膜に生じる炎症の総称で、できる部位によっては舌炎、歯肉炎、口唇炎などと呼ばれることがあります。痛みや不快感から食事が取りづらいなど日常生活に支障をきたすことがあります。通常1~2週間程度で自然とよくなりますが、長期間口内炎が治らない場合は口腔がんの可能性があります。また、類天疱瘡やベーチェット病などの自己免疫疾患などでも口内炎を反復することがあります。
そのため、口内炎がなかなか治らない場合や、反復する場合は耳鼻科受診をおすすめします。
口内炎の種類と原因
アフタ性口内炎
最もよくみられる口内炎です。口の中の粘膜に、痛みを伴う丸くて白っぽい数ミリの灰白色斑(アフタ)ができます。原因は、誤って口の中の粘膜を噛んでしまったり、ブラッシングや歯の治療後の詰め物による物理的刺激、やけどなどの傷に雑菌が入り込んで起こるといわれています。また、ストレスや睡眠不足などによる免疫力の低下、ビタミンBやビタミンCなどの栄養不足、喫煙、アルコールなども関係すると考えられています。
カタル性口内炎
義歯や矯正器具などの刺激、熱い食べ物によるやけどなどが原因です。口の中の粘膜が赤く腫れ、水ほうができます。痛みはアフタ性口内炎より軽い傾向にありますが、時にヒリヒリとした痛みがあるため、辛いものや酸味のある刺激物を食べると痛みを感じることがあります。
ヘルペス性口内炎
ヘルペスウイルスが原因で、口の中に水ぶくれや歯茎が腫れ、高熱を伴います。痛みが強いため、食事や水分を取るのが難しく、脱水症状になることがあります。乳幼児に発症しやすく、ヘルペスウイルスは一旦治っても体内に残るため、免疫力の低下によって再発を繰り返します。また、唾液や接触による感染、飛沫感染で人にうつる可能性がありますので注意が必要です。
カンジダ性口内炎
カンジダ菌というカビの一種が異常に増殖して発症します。免疫力の低下、ステロイド剤や抗生物質の長期服用、口腔内の乾燥などが原因といわています。舌や頬の内側などに白いコケ状のものが付着します。初めは拭うと取れることがありますが、症状が進行すると広範囲に広がり、取れにくく、痛みが出てくるため食事が困難になります。
※上記以外にも特定の食べ物や薬剤に対するアレルギー反応で起こるアレルギー性口内炎、喫煙によっておこるニコチン性口内炎があります。
治療方法
うがい薬、痛みや炎症がある場合には、ステロイド軟膏を処方します。細菌やウイルスによる口内炎の場合は、抗ウイルス薬や抗菌薬を使用して治療します。また、ネブライザー治療をすることもあります。その他、口内炎の漢方などもあります。口内炎は初期治療を間違えるとなかなか治らず、増悪する場合もありますので初期から耳鼻科受診をおすすめします。