いびきは子供も大人も、だれでもいびきをかきます。成人の約30%はいびきをかくといわれています。いびきには、疲れたときやお酒を飲んだときなどにいびきをかくものを「一過性いびき」といい、寝ているときに常にいびきをかいているときを「習慣性いびき」といいます。さらに習慣性いびきには睡眠の質に影響がない「単純いびき」と、寝ているときに呼吸が止まったり、日中に強い眠気を感じるなどの症状がある場合を「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」といいます。いびきはなかなか自分では気づきにくいため、ご家族や同居している方から指摘されないと気づかないことが大半です。ですが、いびきは放っておくと高血圧や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症を招く恐れがあるため、慢性的ないびきでお悩みの方は早めの受診をおすすめします。
検査
当院では、簡易型睡眠評価検査(パルスリープ)で睡眠中の状態を調べることができます。簡易型睡眠評価検査(パルスリープ)は、ご自宅に機器を持ち帰り、鼻と指にセンサーを装着して一晩睡眠を取っていただきます。睡眠中の呼吸の回数、酸素飽和度の変化などを測定し解析します。検査結果次第で、入院検査での精密検査が必要になる場合もあります。
また、ご家族や同居している方にお願いして、ご自分の寝ているところを動画で撮影していただき、診察の際見せていただけると、とても参考になります。
治療法
まずはいびきをかく原因をつきとめ、その原因ごとに治療法が異なりますので、医師の指示に従い治療を進めましょう。
鼻づまり
いびきをかく原因として最初に治療するのは、鼻づまりです。鼻づまりがある場合、口呼吸になるで、のどちんこ(軟口蓋)や舌根が落ち込み気道を圧迫し、いびきををかくようになります。また、昼間には鼻づまりがなくても、睡眠中にだけ鼻づまりになる「かくれ鼻づまり」もあります。朝起きた時に口やのどがカラカラになっていれば、かくれ鼻づまりがあるかもしれません。
鼻づまりの検査は、問診、内視鏡検査、レントゲン検査、CT検査、血液検査などを行い、原因となっている病気を確認します。
鼻づまりの治療は、内服薬や鼻うがいなどの保存的治療、外科的治療があります。患者さんお一人お一人に合った治療法をご提案いたします。
鼻づまりの原因である主な疾患
【アレルギー性鼻炎】スギ、ヒノキなどの花粉を原因として発症する「季節性アレルギー性鼻炎」、ダニやホコリなどが原因で1年を通して鼻炎症状が現れる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。
【副鼻腔炎】蓄膿症とも呼ばれ、風邪のウイルスや細菌、アレルギー、カビなどにより、副鼻腔の粘膜に炎症が起こることで発症します。
【鼻茸症】鼻内や副鼻腔内の粘膜にできた良性の腫瘤で、鼻ポリープとも呼ばれます。
【鼻中隔湾曲症】鼻の穴左右を真ん中で分けている壁、仕切りが曲がっている病気です。
【肥厚性鼻炎】アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、点鼻薬の使いすぎなどで慢性的に炎症が起こり、鼻の粘膜が厚くなる病気です。
【アデノイド肥大】子供特有の病気で、鼻の突きあたりにある咽頭扁桃(リンパ組織)が肥大したまま、小さくならない状態をいいます。咽頭扁桃は4〜5歳までは肥大した状態が続き、6歳頃には少しずつ小さくなってきます。小さくならない場合は手術による治療が必要となってきます。
マウスピース
鼻づまりがない場合、睡眠中にマウスピースを装着することでのどちんこ(軟口蓋)の落ち込みを軽減させ、いびきの改善が見込めます。紹介状を持って、歯科で作成していただきます。
CPAP療法
鼻に専用のマスクをつけて空気を送り込む装置で呼吸を助ける治療です。睡眠時無呼吸症候群の治療として用いられます。ですが治療を行う際、鼻づまりがあると効果が出にくいため、まずは鼻づまりの治療を行いましょう。
生活習慣の見直し
減量
肥満になると首やのど、舌にも脂肪がつくため、気道が狭くなって、いびきをかきやすくなります。バランスのとれた食事と運動で、適正体重を維持しましょう。
標準体重(kg)の計算方法 = 身長(m)×身長(m)× 22
禁煙
タバコを吸う人はのどの炎症が起きやすく、炎症が続くことで気道壁が厚くなり気道が狭くなります。いびきの原因につながります。
アルコールを控える
お酒を飲むとアルコールの影響で気道周辺の筋肉がゆるみ、舌が落ち込んで気道が狭くなるので、いびきをかきやすくなります。寝酒や深酒は控えましょう。
寝る姿勢
気道がふさがるのを防ぐ寝方はうつぶせ寝です。しかしうつぶせ寝が苦しい方は横向きで寝ることをおすすめします。なぜなら仰向けで寝るよりも、横向きで寝ると気道を狭めないため、いびきの改善に期待できます。横向きに慣れていない方には、体が自然に横向きになるように工夫された枕もありますし、抱き枕もおすすめです。
寝具の見直し
枕が硬くて高いと、首が曲がり気道が圧迫されるので、いびきをかきやすくなります。
部屋の乾燥を防ぐ
乾燥した寝室で口呼吸で寝ると、のどの炎症につながる恐れがあります。炎症によって気道が狭くなると、いびきの悪化につながります。また、鼻の粘膜も乾燥しドタイノーズになりやすく、鼻血が出やすくなります。そのため鼻血やかさぶたが鼻の中を塞ぎ、いびきをかきやすい状態になります。加湿器や濡れタオルなどで寝室の湿度を適正に保ちましょう。